1998年12月30日(水)
パプアニューギニア 6日目 (クンディアワ 3日目)


 今日は街へ出かけることにしました。 街への交通手段は例によってトラックの荷台です。 一日に2,3度街へ行くトラックがあるそうです。 この日は朝8時頃のバスに乗りました。 超満員です。

 まず、例の韓国人の経営するお店などをぶらぶらしました。 歓迎してくれたようで、コーラをごちそうしてくれました。 街全体は非常に小さく、すぐに一周出来てしまいます。 裏通りでは、ポケットに手を入れてくる人もいたりします。 スリです。 気を付けましょう。

次に、ギグマイの私用で郵便を取りに行きます。 住所なんて物はないので、私書箱です。 彼はクンディアワの知り合いの私書箱を借りているようで、そこのお宅を訪ねました。 しかし、残念ながら留守で、郵便の確認は出来ませんでした。 歩いていると、今日は何となくしんどいです。 熱もあるようです。 昨日寝冷えでもしたのでしょうか。 太股の付け根のリンパのあたりも少し痛みます。

 お昼は食堂でご飯です。 が、もう、すごく気分が悪いです。 箸も全然進みません。 気分悪そうにしているのを見て、横に座っていた韓国人の宣教師が心配してくれました。 「マラリアだからすぐに薬を飲みなさい。」と・・・・。

 食べ物は入れ物に入れてもらって、すぐに薬局へ行きました。 そして、クロロキン(Chloroquine)、Panadolをもらいました。 とりあえず、言われたとおりに、クロロキン4錠とPanadolを飲みましたが、せっかく街に出てきているのだから、念のために病院にも行くことにしました。 村に帰ってしまって、症状がひどくなっても、街へ出るのは一苦労です。

カルテは、なぜか、
「HELT BUK BILONG PIKININI
(子供の健康帳)」です。

 街と言っても15分くらいで一周出来そうなところなので、病院もすぐです。 ここの病院は日本人によって作られたそうです。 着いたときはちょうど昼休みで、診察は1時からということだったので、カルテを1キナで買って、表で待っていました。 この頃には、もう座っていることも出来ず、横になっていました。 周りの人たちもマラリアだと分かるようで、かわいそうにかわいそうに、と言ってくれていました。 しばらくして、診察してもらいましたが、意識はもうろうとしていました。 とりあえず、太股が痛いのは足首の傷にハエがたかっていたのが原因だそうです。 熱も測ってもらいましたが、39.5度ありました。 強いマラリアだそうで、さっきの薬は効かないそうでした。 しかも、5錠で致死量なので、4錠も飲むとは何事だ、ということでした。 こわいこわい・・・。

中身はこんな感じで

 血液検査をする前、おちょこ一杯程度の液体の薬をもらったのですが、これが、なんと、むちゃむちゃよく効くのです。 とても座っていられない程しんどかったのが、嘘のように楽になりました。 その代わり、手足がしびれて、しばらく動けなくなってしまいました。 一体何を飲まされたのでしょうか・・・。 検査の時、そこにあった机の上にカバンをおろすと、そんな汚い物を置くんじゃない!と怒られてしまいました。 僕のカバンはそんなに汚いのかなぁ、と思いつつ、ちゃんと清潔にされているのだと安心になりました。

 結局診断は、マラリアで、もしかしたら、腸チフスの可能性もあると言われました。 マラリアだったら、3日経ったらよくなるはずだということでした。 腸チフスだと、ここの病院ではどうしようもないそうです。 薬は、Quinin(クィニンと言ってました。日本語ではたぶんキニーネ)、Doxycycline(ドキシサイクリン)、Paracetamol(パラセタモール)、Amoxyl(アモキシル)をもらいました。 8時間ごとに飲む薬と、6時間ごとに飲む薬があるので、なんともせわしないです。 ちなみに、料金は、薬も診察も全て込みで7キナ(420円)くらいだったと思います。

Imp. Malariaって書いてあります

 村の方に帰るのにバス(トラック)を待っていると、また、しんどくなってきました。 さっきの強烈な薬の効き目がなくなってきたのでしょう。 バスは助手席に乗せてくれました。 周りの人たちも心配して、かわいそうにかわいそうに、と言ってくれます。 みんな、ほんとに親切な人ばかりです。

 家に戻ると、今度は民間療法です。 何か分からないのですが、どこからか大きな葉っぱを持って来て鍋でグツグツ煮ています。 そして、頭から毛布をかぶって、その鍋の湯気を浴びるのです。 汗をいっぱいかいたところで、wasawasしろといいます。 waswasとは風呂に入ることです。 そう、ここの風呂とは、あの冷たい川の水を浴びることです。 さすがに、返って風邪をひきそうな気がしたので、何とか説得してこの部分は省略させてもらいました。

こんな薬を飲んでました

 しばらくすると、向かいの家の人が、パパイヤ(popoと言います)の種付きを持って来てくれました。 パパイヤを種ごと食べるとマラリアの薬になるのだそうです。 しかし、この種、むちゃむちゃ辛いのです。 おいしくなかったですが、頑張って食べました。

 まだ、あります。 ここの家の子供は実は祈祷師なのです。 彼の中にはキリストが降りてくるのです。 みんな、そう信じています。 (おそらく、自閉症で、宣教師の言葉をコピーしてしまっているのだと思います。) その彼が僕のために祈祷してくれました。 最後に、水になにやら呪文をかけて、薬にしてくれました。 その水を飲むとよくなると言うことでした。

 ひととおり民間療法も終わり、横になりました。 マラリアはすごく寒いので、半袖シャツ、長袖シャツ、長袖の服、トレーナーを着込んで、寝袋に入って、毛布をかぶりました。 しかし、全然こたえません。 寒くて寒くて歯がガタガタ鳴ります。 いくら高地と言っても赤道直下です。 それでも、そんなに寒いのです。 しかも、薬を飲むと、ものすごい耳鳴りです。

 こうして、夜は更けて行きました・・・。

前のページ up戻る 次のページ

homeひらちゃんのホーム email:yo@hirano.cc

email:yo@hirano.cc